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ゼウシスのしきりで着々と会議は進んでいく。
差別問題がその議題のほぼとなっている。
「ゼウシス殿!なぜ国王に直接訴えに行かないんですか!」
一人が叫ぶと、半数余りの団員がその声に続いた。
意見を好き勝手叫び散らした声がそこら中で交差し、意見違いの者同士が口論を繰り広げている。
「静まれ!」
ゼウシスの側近の一人がそう叫ぶと、静かにローブのフードを脱いだ。
人よりも鋭い目付きと薄い顔立ち。それに何よりも尖った耳が彼がエルフである事を教えてくれる。
彼の名はザネフ。
細く長い青髪を一本に束ね、黄色の瞳を黒い肌の隙間から光らせている。
「期を待つのだ」
ザネフは自らも持つ悔しさを押し殺す様に言った。
ゼウシスはザネフの肩をなだめる様に叩くと自ら口を開く。
「数日後に国王は第一王子であるファルマに王位を継承する」
ゼウシスは椅子から立ち上がり、続けた。
「その祭典の際に王家の者達は城下に顔を出すらしい。確かな情報だ」
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