第一章 裏切り

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「団長がお越しだ」 誰かが声をあげると、賑やかだった店内が静まり返った。 そしてあちらこちらで、客が店を後にしていく。 デクニカの会合が始まるようだ。 扉から数人の取り巻きを引きつれた、麻のローブに身を包んだ大柄な男が店の中央の席に向かって歩いてくる。 勇ましい瞳と美しい金色のタテガミを揺らしながら歩くこの男はデクニカの団長ゼウシス。 ライオンの血を引く、獣人の王族ライオット族の末裔だ。 ライオット族の輝く様な金色のタテガミは見る人を魅了する。 ゼウシスは中央テーブルにたどり着くとそのまま静かに椅子に腰を下ろした。 その姿を二階の角席に座る、フードを深々と被った者が怪しげな眼差しで見つめている。
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