1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
まだ幼い僕は、たかしくんが怖かった。
彼は普通の人間ではないことは子供心にわかっていた。彼の独特な行動を恐れてはいたが、生来僕がドンくさいのか、怖いながらも馴染んでいた。
僕のうちは小さな坂の途中にあり、小さな道路をはさんだむこうは空き地になっていた。
そこでよくおばあちゃんがたき火をしていたがひょんなことから僕はたき火の番をしていた。
するとたかしくんが突然、
「火事だ!火事だ!!」とバケツに水を入れ駆けつけて僕ごとたき火にぶっかけた。
水びたしの僕はさすがに怒ったのか、
「火事じゃなかって!たき火って!」
と幼いながらも立派な正論を主張した。
たかしくん「いや…。火事って思うたとさ…」とわけのわからない弁明で、多分僕はその頃には、怖い人というよりただのイカれたバカと認識していたのだろう。
ある日、うちの壁にたかしくんが水風船を投げつけていた。
僕はこれを見てたかしくんに立ち向かった。「何ばしよっとや!」
たかしくん「こい(これ)、ションベンの入っとるけんね!」
次々と投げつけるたかしくん。狂ってるのか。僕は抗おうとしたが、今度は僕に投げつけてきた。
いじめられてるのか、僕以外に友達はいるのか。僕にとって本当に嫌なやつだった。
最初のコメントを投稿しよう!