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結局自分の研究室を片付けてたら17時半を過ぎていた。
渡された資料を見る限りでは、この大学の心理学専修というのは、つい3年前に新設されたばかりらしい。豊橋先生がここに着任した年に出来たわけだ。
ここに来る前に聞かされたのは、俺はしばらくは臨時講師という形での採用だった。さっきの吉沢先生と豊橋先生の使いっぱしりというとこか。
「まあ、ぼちぼちやっていくしかないか」
大学の冬休みまであと1ヶ月。俺は冬休み中の特別講義1週間分を用意しながら、しばらくは自分の論文を書いて発表していく生活になるようだ。
いや、十分だ、こんな楽な大学生活は学生以来だと思う。
「好きなことを研究して、好きな授業をすればいいから」
俺はこの豊橋先生の一言でここに来ることを決めたようなものだった。相変わらず甘やかされていると思う。
パソコンの画面には、幾つかのフォルダが設置された。ここ数年で俺が発表した論文と、幾つかのやりかけの研究。
これから恩師に就きながら新しい世界が広がることを想像するとわくわくした。
「のんびりしすぎた」
時間も迫ってきたところで、俺は鞄を持って部屋を出た。
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