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そして、案の定店で待っていたのは、焼き芋2人組だった。俺を見つけた片割れが声を上げた。
「先生だったんだー、うわー」
「なによ、舞ちゃん知り合いなの?」
そしてすぐにまずいと思ったのか、俺の顔を一度見た後で「いえ、しりません」と棒読みした。
いやいや、もう遅いだろ。俺は一応フォローするつもりで先生たちに言った。
「いや、今日大学内で道に迷って、ちょっと声をかけたんです」
すると、もう片割れがくすっと笑う。俺がフォローしてるのに笑うとはなんだ。
「まあまあ、安藤も手が早いから、仕方ないということで、ね、吉沢先生」
「そうですね、若いから仕方ないわよね」
意味不明な豊橋先生の一言で、納得した吉沢先生。また2対1の構図。なんか出だしから損しまくってる俺。
「それより、もう純ちゃんに頼んでくれてるの?」
豊橋先生は学生に聞いた。
「はい、純さんがいい具合に色々用意してくれてます」
その声を聞いて、店の奥から恰幅のいい大きな女性が現れた。
「あら、こんばんは、先生お待ちしてましたよ」
「純ちゃんやっほー、これ、安藤」
「ああ、あの安藤さん」
「え、先生、なんで共通の知り合いみたいになってるんですか」
すると、全員が俺の顔を見て、なにやら全員が俺のことを知ってるよといった顔をした。
「大丈夫、安藤のことはうんと前からみんなに話してあるから」
「…はい?」
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