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白い息がもくもくと砂崎から立ち上る。どうも酔いはまだ醒めていないらしく、歩くので精一杯のようだった。俺は返事を諦めてついていく。
それから、目の前のマンションで砂崎は立ち止まる。
「先生、ここなんです」
うん、ここね。
「俺んちと一緒じゃねえかよ」
へ?という顔をする。
「俺もここなんですけど」
「え、そうなんですか」
そうなんですか、って。ここは単身用マンションだぞ。
「てっきりお前は家族と一緒に住んでると思ってたんだが」
「いえ、ひとり暮らしです」
「わざわざ大学から離れた渦巻?」
「ここ、おじいちゃんのマンションなんです」
そして、俺はすべてを察した。
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