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「いや、悪い冗談だよな、すまん」
場合によっては学校に訴えられてもおかしくはないこの状況。俺は冷静な顔を装いながらも、心臓が飛び出そうになる。
「お願いします…」
「そんな切ない顔でお願いするなよ」
自分が酷く悪いことをしている気分になる。でも、俺の責任の取り方として考えられるのは、このぐらいしかなかった。
「わかった。俺は別の部屋で寝るし、お前の嫌なことは一切しない、約束する」
これ以上は言葉が見つからず、俺は砂崎をできるだけ見ないように、そっと彼女の腰に手を当てた。
「立てるか?」
小さく頷いて、俺にしがみつきながら砂崎は立つ。
「3003だから、俺の部屋」
さっきの質問に答えるつもりで言うと、彼女は小さく微笑んで、深く息を吸おうと胸を張った。
「もう何も無理するなよ、話さなくていいから」
それは俺がこれ以上なにか砂崎と話をする勇気がなかったから、自分のためにフィルターを張るためのお願いだった。
俺の気持ちは部屋へ向かうことを急いでいたが、砂崎がつまずかないように、一歩一歩ゆっくり部屋へと向かった。
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