冬休み前

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「正直2人は難しいですが、砂崎さんについては、冬休み明けまでに目処が立つようにサポートをしていこうと思うんですが」  そう切り出すと、先生は考えながらコーヒーカップを持ってデスクに戻った。「そうだなあ」と一拍置き、一口コーヒーを飲む。 「俺には難しいでしょうか」 「いや、そんなことはないよ。むしろすごい助かる。でもな、お前が思ってるより手ごわいぞ」  手ごわい。俺が要領を得ない顔をしたのがわかったのか、先生は続けた。 「まあ言い換えると、人には色々あるって事だ。俺やお前にとっては些細な話かもしれないが、一度対人関係に非随伴経験があるとどうなるかお前も何となく察しがつくだろう」 「と言いますと…?」 「俺もあまり正確なところは知らん。とりあえず親身になってやって。一度傷ついたらそれを上から包むようにして、居場所を作ってやらんとな。やり方はお前に任せるよ」  そこまで言うと、先生はコーヒーにまた口をつけた。 「さ、今日も飲みに行くか?」  切り替えて提案されたが、天気は淀み始め、窓の外は雨が降り始めていた。 「いや、すみません。俺今日は帰らないと」  出しっ放しの観葉植物をダメにするわけにはいかない。 「えー、安藤くんってば釣れないのねー」  口を尖らせてしょげて見せる。今日の代理までやらせておいて本当自由な人だ。 「また近々、改めてお願いします」  ちぇーと古典的な拗ねのセリフを言いながら、パソコンを畳んで帰り支度を始めた。 「ではお疲れさまでした、失礼します」 「おーう」  俺も自分の部屋に戻り、急いで帰る支度を始めた。
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