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翌日、俺は砂崎のサポートを申し出たからにはと、デスクで予定を考え始めた。自分にしては珍しく几帳面な一面をむず痒く感じた。
とはいえ、仕立てた予定は非常にざっくばらんなものだった。
「お前さ、こういうのも訓練だと思ってもう少しなんとかなんないの」
豊橋先生にも軽く報告する程度のつもりで持っていくと、そう言い放たれた。
「まあいいけど」とすっぱり切り、「デイリーレベルで立てろなんて言うつもりもないけど、定期的に彼女の様子を見て、話をしてやって」
砂崎の性格からして、俺がしょっちゅう声をかけると余計に距離を置かれるような気がしたが、郷に従うことにした。
先生が昨日砂崎にはセンシティブなところがある、と口にしていたのを思い出す。
とりあえず自室に戻って、学生にアドレスが割り当てられた学内メールで砂崎に連絡を入れた。
《砂崎さん、卒論研究の件です。一度特講の時間を使って個別相談しながら具体化していきましょう》
3年は卒論特講が週2回必修で設定されていた。豊橋先生曰く、ほとんどあってないエア講義の状態だったが、単位付与には講義実態を求められるようになっていたため、軌道修正をかけるいい機会だった。
数時間後、彼女からは手短に《わかりました》とだけ返信があった。
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