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純さんに勘違いされないように、あくまで人道的支援のつもりで泊めたと伝えたがほとんど効果はなかった。
純さんは俺の気まずさを受け止めた。
「いいのよ、私は別に大学の先生でもないんですから。もう大人なんだから、気にしないで」
砂崎はまったく意に介さない様子で、帰り支度をしていた。
「純さん、このことは豊橋先生には」
「大丈夫、言ってないし、言わないから」
その一言が何より聞きたかった言葉だった。
「ありがとうございます。また来ます」
豊橋先生に言ってしまわないように、定期的に店に貢献すると決心した。
コートを羽織った砂崎が入口に現れる。
「香奈ちゃん、お疲れさま。先生と上手くやるのよ」
そこそこ大きい声でそう言われるとさすがに砂崎も照れたのか、マフラーで顔を隠した。
本当この店に来ると色々起こるなと思いながらもじもじする砂崎の背中を軽く押して店を出た。
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