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デスクの上に設置されたパソコンと、壁には本棚。ずらっと並んだ専門書や、なんかの紙束が敷き詰められている。
俺はひとまず窓を開けた。
「あれ」
すぐに窓の外の異変に気づいた。妙な煙が立ち上っていた。
「あ、やばいよ!」
窓の開く音で気づいたのか、声の主は、俺を見上げてアタフタしだした。そして隣にいるもう一人の学生は、ゆっくり俺の方を見上げた。
無表情に。でも、なんとなく艶のある表情で。
「なにしてんだ、おい」
その煙の正体を知るのに時間はかからなかった。なぜならどっからどう見ても。
「なにって、焼き芋です」
その無表情のまま、彼女は火元に指を差しながら答えた。それから後を追って、もう一人が付け加えた。
「す、すみません、すぐ消しますから!」
すかさず、無表情の方が言う。
「なんで消すの、焼き芋できないでしょ」
「香奈!やっぱりだめだって、危ないよ」
「ええ、あとちょっとなのになぁ」
俺はなんとも言えない気持ちになった。
「とりあえず、火事だけはやめてくれよな」
俺はそう言って、窓を一旦閉めた。
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