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「それまで何とも思っていなかったのが、遡って考えると俺の行動は実は彼女のことを特別視してそういう態度を取ってきたのかもしれないと」
「ああ、もういいよ、スッゲーもういい」
スッゲーもういいとは。
「お前って奴は…」
いつの間にか頭がボサボサになった先生は、目元を押さえた。
「純さんになんて言おう俺」
「いや純さんには言う必要ないですよね」
「なんでお前冷静なんだよ」
そんなこと行きつけの飲み屋で吐露されても困る。
先生は印刷された砂崎のレポートを眺めて、何か考えているようだった。次に言い渡される言葉を覚悟して俺は待った。
「で、お前、砂崎に何したんだ」
「何したって」
「そのまま部屋に連れ込んだとかじゃないだろうな」
殺意を含んだ声で、いきなり俺の喉元にボールペンを差し向けた。
「連れ込んでませんって」
「本当か?嘘ついたら刺す」
「天に誓ってないです」
そう言うと「そうか」とボールペンを引いた。
「でもちょっとなんかしたろ」
すぐにまたボールペンの先が俺の喉元に触れた。ここで嘘をつく訳にいかず、俺は正直に言った。
「ハグはしました」
「ああ?」
ボールペンどころか、先生はテーブルに乗り出して俺の胸ぐらを掴んだ。
「申し訳、ございません」
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