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物凄い不吉な話を聞いた気がして。 己の大好物である『ほうれん草の白和え』を口元に運ぼうとしていた新田・咲(にった・さき)は、その動きをピタリと止めると。 箸の先に向けていた視線をゆっくりと、発言主である父 ーーー新田・佐紀(にった・すけのり)へと向け。 恐る恐る、問い掛けた。 「お、お父さん? 今・・・・・・今、何て言った?」 半信半疑。 聞き間違いであってくれという感情が強く感じられるその問い掛けに。 佐紀は、読んでいた新聞から目を離すと。 「ん?いや、だから。 父さんの会社、潰れ―――」 そこまで言いかけて。 急に、何かに気が付いたかのような表情になり 「……いやすまん、言い直させてくれ 」 咳払いを二、三度して。 そして。 「父さんの会社、『とうさん』したから!!」 何故か誇らしげな顔で言った。 「・・・・・・え?」 固まる咲。 「佐紀さんったら、親父ギャグ?」     口元を左手で覆って、クスクスと笑っている咲の母ーーー新田・愛美 「おとーさん、そのぎゃぐおもしろくなーい!!」 唇を尖らせている、咲の弟ーーー新田・真人 「そうか?いやー、まだ小1の真人にまで言われるとはな、ははは」 「うふふふ」 「えへへ」 三人の笑い声で、食卓が和やかな雰囲気に包まれ。 「ギャグで済まそうとするなああああああ!!」 その和やかな雰囲気を、咲の叫び声が破った。
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