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「こらこら咲、ご飯の最中に大きな声を出すんじゃない」
たしなめる父を無視し。
「大きな声を出したくもなるよ!!
『会社が潰れた』って……それ、かなり重大な事件だよ!?
なんでそんな笑えんの!?」
矢継ぎ早に、咲は言葉を父に投げつける。
が、返事は返ってこなかった。
それどころか。
まるで何一つ聞こえなかったかのように、佐紀は娘に一瞥をくれると、大袈裟に溜め息をつき。
「おやおや咲、反抗期かい?
そんなカッカカッカしてないで、ほら牛乳でも飲んでカルシウムを摂取しなさい」
1Lパックからコップに注ぎ、咲に差し出した。
もちろん、
「今はそんなモン飲んでる場合じゃないでしょ!!」
咲は見向きもしなかったが。
「おやおや・・・・・・なあ母さん、咲は牛乳は嫌いだったっけかな?」
娘に拒否された佐紀は、仕方がないので自分で飲むと、口にできた白ひげを指で拭いながら、悲しげな表情で愛美に話しかけた。
話を振られた愛美は、佐紀と同じ様な表情を浮かべ、溜め息をつきながら。
「ええ、小さい頃はよく飲んでたのに。
牛乳を飲まないから、胸も大きくならないのよ?
好き嫌い言わずに飲まなきゃ駄目よ、咲」
真顔で言い放った。
「だ、誰が胸の話をしてるのよ!!
今は、父さんの仕事の話を」
「おねえちゃん、まないたー」
「真人は黙ってなさい!!
……っていうか、何処でそんな言葉を」
ーーーーーと、その時。
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