1人が本棚に入れています
本棚に追加
「…別れたい」
それはどしゃぶりの日だった。
長い沈黙の後、
彼はそう言った。
「なんで?」
あたしはそう聞けずにいられなかった。
「もう好きじゃない」
あたしの頭は真っ白になって。
なんで?
ってただその言葉しか出てこない。
でもこれ以上聞くのダメな気がした。
「…分かった。ばいばい」
あたしは彼に背を向ける。
喉の奥がすっぱくなった。
目の前がにじんで見えた。
だめだよ、
泣くなんてカッコ悪いじゃん。
重い女って思われちゃうじゃん。
泣くな。泣くな。
泣きたくないよ、
こんなとこで。
走って走って走って。
涙がいっぱい頬を伝う。
あの日あたしは、
この日の雨に負けないくらい
いっぱい
いっぱい
いっぱい
泣いた。
最初のコメントを投稿しよう!