番外編

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少年は手を伸ばしました。 男の子はクスっと笑い尋ねました。 「君のノート…随分落書きしてるね。」 少年は皮肉に答えました。 「傷だらけなんだ。」 続けて 「君の本は凄いや。真っ白だ。」 男の子は尋ねました。 「知りたい?」 続けて 「それは…正直だからさ。」 少年は男の子を見合いました。 すると、男の子は沫の如く消えてしまいました。 やがて、三人の男の子が現れてこう尋ねました。 「そのノートよこせよ。」 「どうせもらいものだろ。貸せ。」 「へっへっへ。」 男の子は少年の持つノートを引っ張り上げました。 少年は必死に抵抗しました。 少年は必死だったのです。 男の子は言いました。 「今日で落書きは最後か…。つまんねぇー。」 少年は答えました。 「返してくれ。」 男の子もまた答えました。 「誰が返すもんか。」 男の子たちは少年のノートをしきりに落書きしズタボロになったそれを投げ捨てました。 少年はうずくまりそのノートを抱いたまま涙を流しました。 そして呟いたのです。 「もし一ページまだ持っていたらどうする?」 男の子たちは唖然としました。 そして答えました。 「嘘つけ!全部俺が…。」 少年は怒鳴り声を上げました。 「もしまだ一ページ持っていたらどうする?」 男の子たちは答えました。 「そ…その時はまたお前のノートに…。」 少年はうちポケットから一枚の紙を取りだし、 「寂しくなったら落書きしていいよ。」と真っさらの色紙にこう書いて男の子たちを笑ってみせたのです。
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