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「やることが無い……暇だな……」
彼はシアン。人間の世界では珍しい妖怪の生き残りである。
妖怪が急にいなくなり、人間の世になり妖怪が人間を捕り、人間が妖怪を退治する図式が無くなったから彼は生きてこられたのであろう。
その点に彼は感謝をしながら、有り余る暇を与えられた事を少し恨むのであった。
普段は読んだ本を読み返したり、食料を得る為に狩りをしたり、飼っている牛の手入れをして暇を潰している。
他には、数年に一度程武器の手入れを行う位である。
しかし、それでも暇は沢山あるのである。
そして今、彼は案の定暇になっている。
「本当に世知辛いねぇ。
誰か昔の知り合いでも訪ねて来ないものかねぇ。」
いつも通りに彼が独り言を呟く。
「こんな所にいたのですね。
探しましたわ。」
すると、今日はいつもと違い目の前に多数の目と一人の少女が現れた。
「おぉ、紫か。
これはまた懐かしい顔だこと。
それで用事は何?」
シアンが、座ったまま訊ねる。
「貴方、暇してない?
もし、暇ならば私と一緒に幻想郷に参りません?」
紫と呼ばれた少女が、シアンに問いかける。
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