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しかしあろうことか、狐面は近付いてくる。仮面越しなのにナイフのような鋭い視線が僕に突き刺さる。
――仮面。
ふと何かが引っ掛かった。記憶にあるのは真っ白で特別な仮面。それが目の前の狐面と似ているような気がした。
今でも忘れない。あの日、フードコートで顔を隠した男が僕に渡してきた仮面。それを使い僕は、
「動くなよ」
瞬間、冷たい声が被せられた。それだけじゃない、氷のような――何か固い物が後頭部に押し付けられる。
その正体は恐らく、銃だ。
嫌な感触が背筋を伝う。
「これからする質問に全て答えろ。言っておくがこれは魔銃だ。下手な真似をすると容赦なくぶち抜くぞ」
「……ああ」
まるで別世界にいるような気分だった。そう思っている内に狐面は目の前まで来ていた。そこで僕は気付く。
「桜花……?」
狐面の人物が着ているのは、紛れも無く桜花魔術学園の制服なのだ。白のシャツに黒のズボン。しかも胸には一年生であることを証明するバッチ。
すなわち、同い年。しかし、こんな奴を学園で見たことは無い。断言できる。
となると。まさか。
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