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「私はまだ、愛してるのに!未練があるのに!死んでやる!!」
「やめて!!」
とっさに足が出ていた。
「お母さん!死なないで!!」
包丁を何本も掴む母の手を掴んだ。
すると、母の腕から力が抜けていき、包丁を流し台に置いた。
母はうつむいて泣き出した。
私は父を見ると、父は背を向けてソファーに座り、足を組んで、こちらを向こうともしていなかった。
(どうして!?)
唖然としてしまった。
そして、父に向かって言った。
「お父さんも止めてよ!!何で助けようともしないの!?お母さんが死んでも良いの!?」
すると、父はまた、鬼のような顔をして近づいてきた。
「んだと!!お前に何が解る!!この人間のクズが!!」
「やめて!!」
慌てて母が父の体を止める。
「このやろー!!」
「やめて!って言ってるでしょ!!」
「だってアイツが!!」
「やめて!って言ってるの!!」
母は父をデッキに追い出した。
私は唖然とするしかなかった。
この頃、既に私は父が大嫌いだった。
頭の中で父の言葉がよみがえる。
『人間のクズが!!』
「・・・どっちがだよ。」
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