130人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
親が離婚した。
別に悲しい事ではない。
むしろ安堵した。
私が19歳の時だ。
まだ暑い夏の事だった。
四人兄弟で一番年上の私と、一番年下の末っ子の弟と、母の三人で、母の実家に引っ越した。
母の実家は車で早ければ三十分、遅くても一時間あれば着く、山の中。
見渡す限り山ばかりで、茶畑や川が流れている。
引っ越しの日、私は、ある人物に呼ばれ、母と末っ子の弟の二人を先に行かせ、私は後から現地に着く事にした。
母の実家とは逆方向に三十分、車を走らせ、着いたのはカラオケ店。
カラオケ店の駐車場に車を入れると、既に相手がそこにいた。
エンジンを切り、車から降りて声をかけた。
「何で私を誘ったの。」
「だって、皆用事あって無理だったんだもん。」
相手は元交際相手の【武藤 護(ムトウ マモル)】
歳は私の一つ下。
出会いは高校生の時に、同じ学校で知り合った一つ年上の【武藤 愛子(ムトウ アイコ)】と友達になり、彼女の家に遊びに行った時に、まだ中学生だった彼と出会った。
そう。護は愛子の弟である。
最初のコメントを投稿しよう!