重み

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求人誌を読んでいると、お婆ちゃんが近づいてきた。 「無理に探さなくて良いんだよ?」 「大丈夫。私も頑張らなきゃいけないし。」 「そお?・・・実はね、役所の人に声をかけてみたんだけど、鉄道で、お菓子や弁当をうる人を募集してるみたいなんだよ。」 お婆ちゃんは、すぐに動いてきたようで、私にもちかけてきた。 「・・・ありがとう。考えておくよ。」 お婆ちゃんに笑顔を向けて言った。 だが、出来ればしたくなかった。 何故なら義叔父さんに言われたからだ。 『いつまでも人に頼ってちゃいけない。だから、あやちゃんには、早くここから出てってもらいたい。だから寮のところで働いてほしい。』 お婆ちゃんの持ってきた仕事は、お婆ちゃんちから通う仕事。 お婆ちゃんには言えなかったが、鉄道の仕事をやる気にはなれなかった。 そして、義叔父さんが進めたのは県外にしかない工場だったが、それでは何かあった時に、すぐに駆けつける事が出来ない。 私は近場で寮のある場所を探していた。 職種なんて選べなかった。 出てくるのは、スナックやキャバクラや体を売る仕事ばかりだった。
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