重み

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「はい!」 「あ、佳苗?(かなえ)あやかだけど。」 「おー!どうしたぁ?」 彼女は佳苗。私が小学生四年生の時に転入してきた時からの仲で、家も徒歩五分もかからない近所で、私の親友だ。 「ごめんね、急に。」 「ううん。どうした?」 佳苗は私の異変に気付きだした。 私は全て話した。 父親から暴力をうけて、離婚して今弟と二人でいる事。母が連れていかれた事。 義叔父さんの事。 今の状況の事。 「もう、正直辛いんだよ。ここから逃げたい。」 泣きながら話した。 「・・・あやかって、本当に波乱万丈の生活してるよね。」 「そうかなぁ?・・・でも確かに普通じゃないかも。本にしたら売れるかも。」 「売れるね!」 佳苗も泣いていた。 「ここからだと、ちょっと遠くて会いにいけないけど、また電話して?ちょっと、うちに泊まらす事は出来ないけど、電話で話聞くだけなら出来るから。」 「うん。」 「ごめんね、それしか出来なくて。」 「ううん。こっちこそ、いきなり電話してゴメンけね。」 「良いよー。」 電話でも自分の気持ちを話せて、少し楽になった。親友の存在に感謝した。 それと同時に、私は逃げられないのだと、絶望を感じた。
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