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お互い笑いあいながら、さよならと言って、その場で別れた。
私は車の中から彼が住宅街の中に消えて行くまで見つめていた。
この時、彼に両親が離婚した事を話せなかった。
私はそのまま、母の実家に向かった。
ここからだと一時間は普通にかかる。
行く途中、マッ○のドライブスルーに寄り、運転しながら車内で夕飯を食べた。
母の実家。祖父母の家に着いた時には、辺りは暗くなっていた。
「お邪魔しまーす。」
すると、母がニコニコしながら出てきた。
「お疲れ様。」
「うん。荷物はどこ置けば良い?」
「あっちに、あやちゃんと尚ちゃんの部屋あるから、そこに置けば良いよ。」
「解った。」
「夕飯は?」
「食べてきたからいらない。」
「そっか。」
母の目は泣いて赤くなっていた。
そんな母の姿は、ここしばらく、ずっとだった。
父親は自営業で、経営については全然駄目で、いつも母親が助けていた。
看護婦の母親に、ある日、
「おい。仕事が忙しいから、お前仕事止めて事務の仕事しろ。」
そう言って、母親に仕事を辞めさせ、自分が経営している会社の事務員にして、働かせたのだ。
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