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貴島 裕(きじま ひろ)25歳。
半年前に異動してきた後輩は、仕事の手際と精度は最強で、人当たりも良い。
彼が来てから結構楽はさせてもらっているのだけど、正直私は彼が苦手だ。
「チーフって、珍しく定時上がりした次の日は絶対元気ないですよね」
ほら、またいらん事を言う。
眉尻をぴくぴくさせながら自分のお弁当をつつく私に気付いているのか、居ないのか、なおも話しかけてくる。
「いくらお酒が好きと言っても呑まれたら駄目ですよ。やっぱほろ酔いくらいでないと……」
わかってる。
じゅーーーぶんわかってる。
そりゃみんなほろ酔い程度が可愛いでしょうよ。
だけど、私がほろ酔いになる前に相手が潰れちゃうんだよ。
酔った振りでも出来れば、まだ救いもあるかもしれないけど、
三十路間近の私にはそんな女の子みたいな事、プライドが邪魔をするんだ。
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