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それでも、好きな人から優しい言葉をかけられると、バカみたいに浮かれてしまう。
私は元々人を疑うことが苦手な分、油断してしまう。
自分を守るために、覚悟を忘れないように、定期的に携帯に残してある、あのメールを見るようにしていた。
メールを見ながら
『信じちゃだめ、信じちゃだめ』
と自分に言い聞かせる。
泣きながら、言い聞かせる。
まるで、傷口にうっすら張ったかさぶたを剥がすような作業。
そのたびに傷口から血が流れ出す。
どんなに痛くて苦しくても、自分に言い聞かせるために、私は何度も繰り返した。
だって、止めると信じてしまう…
村上さんは『私』を愛してくれていると、思い込んでしまう。
違う、そうじゃないと、自分に言い聞かせるために…
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