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その翌日、村は襲われた。
突然だった。
三十騎ほどの賊徒が一斉に村へなだれ込んできた。
孝は若者たちと果敢に迎え撃った。しかし、不意をつかれた上に武器の質も悪かった。
見る間に仲間が倒されていった。
陳も傷を負ったようだ。額から血を流していた。
「こんなに簡単にやられちまうなんて」
陳は肩で大きく息をしていた。
傷が痛むのか顔をしかめている。
「仕方がない。こちらには戦う力はほとんどなかったのだ」
孝は倒した賊から奪った戟を抱えていた。
賊の頭目らしき男が馬上で手下に合図を出している。
合図を受けた手下が五騎でまとまって突っ込んできた。
孝はとっさに陳を庇うように飛び出していた。
しかし、どこからか飛んできた矢が先頭の手下に突き立った。
続いていた手下たちにも次々と矢が突き立つ。
乗り手のいなくなった馬は思い思いに走っていく。
頭目の男の目が見開かれている。
孝は矢が飛んできた方へ視線を走らせた。
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