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孝の視線の先に二人の男をつれた飛耀がいた。
三人とも馬に跨り、それぞれ得物を携えている。
「取り込み中だったか?」
「来てくれたのか」
弓を手にした飛耀が孝の元に近づく。
「な、なんだ貴様たちは?」
頭目の男が叫んでいるが飛耀は無視している。
「ずいぶんと遅かったじゃないか」
「馬を手に入れるのに苦労してた」
飛耀が鞍を叩く。
いい馬だった。村の馬とは体躯が違った。
「あの男たちは?」
「勝手についてきた。それよりも、美味い酒はどこで飲める?」
飛耀の問いに孝は面食らった。
周りではまだ賊徒が暴れまわっているのだ。
さらに目の前にいるのは賊の頭目である。
「あるにはあるが、この状況でか?」
「ふむ、そうだな。折角の酒もこう騒がしいと落ち着いて飲めんな」
そう言った飛耀は後ろを振り返り二人の男に声をかける。
「盛明、泰一(たいいつ)、周りがうるさい。静かにさせてきてくれ」
「心得た」
「任せておいてくれ」
二人はすぐに走っていった
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