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「隊長よろしいので?」
連れ出される男を見やりもしない飛耀に騎馬隊の兵士が聞いてくる。
「今はな」
「どういう事です?」
聞き返してきた兵士にも飛耀は手を振るだけだった。
泰一が洛陽郊外で騎馬隊の馬を駆けさせ飛耀の元へ報告にやってくる。
馬は毎日駆けさせなければ走らなくなる。
そのため、泰一が指揮して毎日馬を駆けさせている。
飛耀のいる営舎の前に来ると、門の傍らに体格のいい男が仁王立ちしている。
泰一が通ると男は頭を下げてきた。
「今日も来てましたぜ、あの男」
「そうか、馬の方は問題ないか?」
「馬の質を考えたらこれ以上は潰れる馬がほとんどです」
「そうか、どうしたものか」
「いい加減、軍に入れてやったらどうです?」
「何をだ?」
「あの男ですよ。天沖(てんちゅう)でしたか?もう五日も立ってますぜ」
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