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突き出されてくる棒を枝で払いのけた。
素早く構えなおした陳が再び突いてくる。
先ほどより鋭い突きだったが、飛耀は簡単にうち払った。
「どうした、払うばかりじゃ俺には勝てんぞ」
飛耀はそれには答えず三度目の突きを払うと、そのまま陳の胴を打った。
「がむしゃらに攻めるばかりが強さじゃないんじゃないか?」
飛耀は静かに言った。
陳は顔を上気させ、さらに突いてくる。
「一度打ったくらいで勝ったつもりか」
今度は棒を払って手首を打ち、胴を払って喉元へ枝先を突きつけた。
「もうやめておけ、お前が敵う相手じゃない」
孝がまたしても攻めかけようとした陳を止めた。
「俺はまだ負けたわけじゃない」
「お前の負けだ。本物の剣だったら二度死んでいる」
諭すような孝の言葉に陳はうつむいた。
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