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孝は村の若者を集めて武器の扱い方を教えていた。
武器の扱いは村で一番だった。といっても、基本的なことしか知らない。
以前に雇った傭兵に教えてもらったことがあるだけだった。
武器といっても棒を削って作った粗末な物だ。
本物の剣を持つ賊徒に襲われたらひとたまりもなかった。
山で飛耀と出会ってから五日が過ぎていた。
「あいつ来ませんね、兄貴」
陳が話しかけてきたのは、一通りの稽古を終えて家に戻る途中だった。
「気になるのか?」
「あれだけ必死になっている兄貴を見たのはあれが初めてだ」
「そんなにだったか?」
「いつもはもっと冷めた感じなのがあの時だけは違った」
「そうかもしれないな」
「俺はまだあいつを認めてはいないが、兄貴がずっと気にしているからな」
陳はそう言って笑った。
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