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「やぁやぁ、こんにちは。いや、もしかしたらそちらでは“こんばんは”かな? まぁとにかく、あなたなら来てくださると思っていましたよ」
洋館の内部。
見上げる事すら億劫になる程天井が高いホールの中心には、先程“白沢 四季”と名乗った紳士が佇んでいた。
彼を包み込むように存在するこの空間は、ただただ広い。
殆どの人物がテレビや雑誌でしか見た事のないような、厳かな造りの内部と、装飾品の数々。
それらは目の前の紳士と、不思議に思えてしまう程に相まっていた。
それらが放つ空気を纏うようにしてそこに立つ彼は、両手を掲げて嬉しそうな笑みを浮かべると更に言葉を紡ぐ。
「では早速ですが、この館について……いや、この“世界”について語らせて頂きましょう」
歌うように言葉を綴り、そこで一度呼吸を整える紳士。
その後数秒だけ何か考えるような素振りを見せていたが、すぐにまた柔らかな笑みと共に語り出す。
「予め言ってしまうのもおかしな話ですが、ここでは七人の方々が命を落としております。あなた様には、それらの事件を一つ一つ見て回って頂きたいのです」
そこまで言うと、紳士はこれまた先程のようにくるりと一回転。
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