13人が本棚に入れています
本棚に追加
少し時間をかけて、答えを見つける。
「あぁ……知らなかったよ。
てゆーか、よく知ってたね。誰にも話した事なかったのに。」
綾乃は過剰なほど明るい笑顔をつくってみせた。
「まぁね…」
そして俺は静かに笑う。
人間てヤツは、秘密がバレそうになると異常に笑顔になる。
そんなこと関係ありませんよ、と嘘が暴かれる緊張を笑顔で隠そうとする。
そしてそれを見て笑うのは秘密を知ってるヤツだ。
つまり俺。
綾乃の事ならどんな嘘でも見抜ける。
綾乃の秘密は全て知っている。
俺の持っている、唯一の特権だ。
葬式が半分ほど過ぎたころ、春が呑気に現れた。
俺等の高校の制服、第3人目だ。
入って来るやいなや、由宇の両親に引き止められた。
遠くで聞こえなかったが、見る限り母親の方が春に詫びてるようだった。
頭を下げた父親の拳が、震えてるようにも見えた。
自分の子供が死ぬってのは、どーゆー感じなのかなぁ。
そんな事をぼーっ、と考えていたら、俺の隣に居た綾乃がいつの間にか春の傍に移動してた。
由宇に花をやっている2人をぼーっ、と眺めて
俺の死に際はどんなかなー
なんて事を考えていた。
最初のコメントを投稿しよう!