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「和也さん……?」
ゲンさんを紹介しようと、声をかけようとした時だった……
「お祖父様、ご無沙汰しておりました」
和也さんは、そう言うと、ピシッと頭を下げた。
えっ……!?
「相変わらず、お元気そうで何よりです」
「あぁ、和也。
ニューヨークでは、見事な仕事ぶりだったと報告を受けているよ」
あたしの横で、ゲンさんが、答える。
「ありがとうございます」
和也さんが、少しだけ微笑みを浮かべてお礼を言った。
お祖父様……って……!?
ええっ……!?
あたしは、この状況を、すぐには理解出来ず、ふたりの間で呆然と立ちすくむ。
左手を添えたまま、あたしは、ふたたびゲンさんと見つめ合う。
半ば、放心状態で、目を見開いたままのあたしに、ゲンさんは、いつも通りに微笑んだ。
「私の孫なんだ」
ゲンさんから発せられた言葉が、フリーズしたあたしの頭の中に響く。
う……そ……!?
それって……それって!?
驚きで、思考のまとまらないあたしをよそに、ゲンさんは、ゆっくりと微笑むと続けた。
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