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「あたしでよろしければ、ぜひ、和也さんのおそばに居させてください」
ゲンさんの右手に、ギュッと力が入る、交わす眼差しは温かく、優しかった。
「和也、璃子ちゃんを頼んだぞ」
「お祖父様、ありがとうございます」
やっと、少し穏やかな表情に戻った和也さんが、お礼を言った。
「……ありがとうございます」
あたしも続けて、ゲンさんにお礼を言った。
驚きと、緊張と、喜びと……
雪崩のように押し寄せる衝撃に、心がうまく片付かない。
そんなあたしを察したのだろう、和也さんが、あたしの肩を抱き寄せ、優しく包んだ。
「璃子ちゃん、ひとつだけ条件があるんだ」
「……」
ゲンさんの言葉で、あたしの全身に、また一瞬で緊張が駆け抜けた。
あたしとは対照的に、ゲンさんは、微笑みを浮かべて言った。
「これからも、私とは、今まで通り友人のゲンさんとして付き合ってくれる事!
お願いできるかな、璃子ちゃん」
……そんなこと!
薫さんと、時田さん、房子さんが、フッと一斉に微笑む。
あたしの胸の中に、再度、温かな愛が駆け抜けた。
「……ぜひ、喜んで」
周りの空気が、一気に和らぎ、まるで、キラキラと星が瞬くように、温かな笑顔が広がった。
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