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ピンポーン♪
その時、タイミング良く呼び鈴が鳴った。
「私が」
時田さんが、そっと部屋を出てお迎えに行く。
一瞬、ホッとした空気に包まれたあたしは、深呼吸して心を落ちつけた。
すぐに、応接室の扉が開く。
「こんばんは。今宵は、お招きいただきましてありがとうございます」
スマートな身のこなしの隼人さんが、冴子さんと共に現れた。
部屋に入った隼人さんは、一瞬で、あたしの様子と空気を感じたようだった。
「私としたことが、1番良いシーンを見逃したようですね」
ニヤリと笑って、あたしと和也さんの様子を窺う。
「いや、これ以上ない、ベストタイミングだ。邪魔されなくてよかった」
和也さんが、笑みを浮かべながら答えた。
「大おじ様、ご無沙汰しておりました」
隼人さんは、瞬時にモードを切り替え、ゲンさんに挨拶をする。
「隼人、久しぶりだな。
いろいろと面倒かけて済まないな」
「とんでもございません」
「慌ただしいだろう?」
「いいえ。
いろいろと、問題を片付けていただき、おかげさまで、やり易くなりそうです。俄然、やる気が出てきました。
新たに、評判の専務も帰国して、やっと新体制で、本格始動出来そうです」
隼人さんは、いつもの涼しげな微笑みを浮かべた。
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