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「璃子ちゃん」
「はい」
「キミなら、きっと大丈夫。
璃子ちゃんは、周りの人達を、幸せへと導く事が出来る人だからね。
和也の事、頼んだよ」
「……ありがとうございます」
ゲンさんの言葉は、あたしに、自信と、勇気を与えた。
「皆様、お食事といたしませんか?」
房子さんが、明るくお声をかける。
「では、いただこうかね」
ゲンさんを筆頭に、広いダイニングへと移動する。
あたしは、冴子さんに近づいた。
「あの、冴子さん……」
あたしの表情から、察した冴子さんが、先に言った。
「先日、隼人と、婚約したの。長すぎた春も終わりってところね。挙式は、来秋の予定なの。でも、まだ内緒よ」
「うわぁ!おめでとうございます」
思わず、うれしくて、あたしは感嘆の声をあげた。
すぐに横から、隼人さんが、口を挟む。
「ありがとう、璃子ちゃん。
ビッグカップルだからね、いろいろと準備と調整に時間がかかってね」
「自分でビッグとか言うか?」
隼人さんに、すぐさま和也さんがツッコミを入れた。
確かに……グループの社長の隼人さんと、北川財閥のご令嬢との結婚は、想像を絶するほどの下準備がいるはず。
「お忙しくなりますね」
「あぁ。でも、仕事の方は、デキる男が帰国したからね、そいつに任せておけば大丈夫!
璃子ちゃんも、サポート頼んだよ」
隼人さんは、いつもの涼しげな眼差しで、答えてくれた。
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