◇◇ 第50章 クリスマスの奇跡 ◇◇

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「そろそろ、食後のコーヒーでも淹れようかな?」 「えっ!?お祖父様が直々にですか?」 立ち上がるゲンさんに、薫さんが言った。 「あぁ、こんなめでたい夜には、自慢のコーヒーを振る舞いたくなるね。 璃子ちゃん、手伝ってくれるかな?」 「あっ、はい」 急に振られて驚きながら、あたしは立ち上がった。 ダイニングの端に置かれていたテーブルで、挽いてきた豆を、ドリッパーにいれ、サーバーにセットする。 キッチンで沸かしてきたお湯の入った細口のステンレスポットを、時田さんが、運んできた。 ゲンさんが、チョロチョロとお湯を垂らす。 コーヒーの豊潤な香りが、部屋中に広がった。 「こうやって、ふやかしながら、豆の声を聴くんだ」 ゲンさんは、とても楽しそうだった。 「次は、璃子ちゃんにも淹れてもらおうかな?」 「ダメですよ。コーヒーは、ゲンさんの担当です! あたしは、おやつ係ですから。 これからもずっと、美味しいコーヒーを、ご馳走してください」 穏やかな眼差しが重なる。 「そうだね。璃子ちゃんの言う通りだ。これからも、コーヒー担当の座は、誰にも譲らないようにしよう」 「ありがとうございます」 あたしは、笑顔で答えた。
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