◇◇ 第50章 クリスマスの奇跡 ◇◇

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******** 祖父と璃子の仲がこれほどとは…… 祖父を「ゲンさん」と呼ぶぐらいだから、ある程度の親密さは、想像していた。 だが、ふたりの信頼関係は、俺の想像をはるかに凌駕していた。 俺が、危惧していた最大の障壁は、すでに璃子がひとりでクリアしていた訳だ…… 璃子は璃子で、日本で、俺にも勝る大仕事を、見事にやり遂げてくれていた。 コーヒーを淹れるふたりを見つめながら、俺は、璃子への尊敬の念にも似た感情とともに、深い安堵感に包まれていた。 璃子の姿に、おぼろげながら、若かりし頃の祖母の姿が重なる。 『はじめさん』と呼びながら、寄り添う祖母の姿を思い出した。 「なんだ?ジィ様にヤキモチか!?」 「まさかっ」 ニヤける隼人に、言い返した。 「まさに、最強の刺客あらわる!ねっ」 冴子までもが、俺をからかう。 「……クスクスッ」 薫姉さんは、そんな様子を見ながら笑っていた。 「おふたりの心の距離は、とても自然に、縮んでゆかれました」 お皿を下げながら、時田さんが、横で呟いた。 「そうですか」 「ええ。璃子さんが発する癒しのオーラは、どなた様のお心にも、スッと飛び越えて、届いてしまわれるのでしょうね」 時田さんが、先程の、俺の告白になぞらえ、にっこりと微笑む。 時田さんまで…… 「あぁ、そうだね」 俺は、少しだけ照れながら頷いた。
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