◇◇ 第3章 ふたりの時間 ◇◇

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「松本部長に缶コーヒーもらってたでしょ!」 席に戻ると早速、村上さんが待ってましたとばかりに、声をかけてきた。 「はい。いただきました」 「松本部長から缶コーヒーってスゴすぎ!もしや社内初の部長お気に入りなんじゃない!?」 えっ!?そうなの!? 「あたしが仕事に手こずってるから、見るに見兼ねて声かけて下さっただけですよ。だって、あたしが早く戦力にならないと、部長のお仕事にも支障が……」 「桜井さんのその天然な鈍感ぶりに、案外やられたのかもよ」 やけに楽しそうに、村上さんが続ける。 「でも、気をつけなさいよ。松本部長を狙ってる人多いんだから。私は違うけどねっ!私は、あなたの味方よっ!」 でたっ!これが社内スキャンダルってやつ!? 缶コーヒー1本で、こんな根も葉もないウワサに巻き込まれては大変!気をつけなくちゃ。 なんて慌てたのもつかの間、すぐにあたしは目の前の仕事で一杯一杯になっていた。
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