◇◇ 第3章 ふたりの時間 ◇◇

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とはいえ、しっかりご馳走していただき、お店を後にしたあたし。 帰り際に更科さんが、投げキッスを飛ばしながら言った。 「君の為ならいつでも席を用意するから。またおいで、未来の松本さん」 更科さん……誤解しすぎですよ。 「ごめんなっ、桜井」 ふと運転席の横顔を見る。ふざけた感じではなかった。 「いいえっ。楽しい時間が過ごせました。部長は、いいお友達がいらっしゃるんですね」 「ありがとう」 嬉しそうに笑う横顔に、また見とれてしまった。 「あっ、ご馳走さまでした」 あたしは、すっかり遅くなったお礼を言った。 「また行こうなっ」 さりげなく言う松本部長に……社交辞令とはいえ、心地よさを感じた。 「はいっ。ありがとうございます」
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