◇◇ 第1章 桜の咲くころ ◇◇

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「はぁ~い」 朋美とふたりで返事して倉庫へ向かう。 定時少し前に、パートさんも集合し、朝礼が始まった。 ベテランパートの山口さんが、朝礼の仕切役。 年齢は……おそらくあたしの母親ぐらい。 優しさの中にも厳しさを兼ね備えた、一目置かれる存在。 「え~っ新入社員さんたちは、今日の夕方、部署が発表になります。4時迄に本社社屋10階会議室に行って下さい。さあ、最後の1日、しっかり倉庫管理をしてちょうだいね。」 「いよいよかっ」 朋美がパチンと指をならす。 「張りきってるね」 すかさず幸が言う…… 「当たり前じゃん!未来の旦那が待ってるかもしれないのよ!」 威勢よく言い放つ朋美に、幸とあたしは、思わず苦笑した。 未来の旦那かぁ~ 1ヶ月前までは学生だったのに……本当に社会人になったんだなぁ ここへ来て改めて、その実感が、胸の奥からじんわりとこみ上げてきた。
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