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薄暗い部屋 椅子に座って男が本を読んでいる 「…………おや、こんにちは」 此方に気づいたようだ 本を椅子においてこちらに歩いてきた 「最近この空間に侵入……いや、滑り落ちてしまう人が多いですね お困りですか?」 男が首を傾げてきたが別に困ってはいない 帰りたいのと暇つぶしがしたいくらいだ 「そうですか 出口はあちらですよ?」 男が指差した方向が明るくなる かなり遠い壁に光が当たり扉が浮き出て見えた ……ちょっと待て、さっきこの男考えたこと読まなかったか? 「読みましたよ? 何か不都合でも?」 頭の中を覗かれていい気分になるヤツは少ないだろう 「あなたはその少数派かもしれないじゃないですか」 OKわかったはっきり言おう 不快だから勝手に考えを読むな 「これは失礼 お詫びにこの本をどうぞ」 ハードカバーの本を一冊手渡された 表紙を見るとそこには一文字 『東方双人伝』
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