23人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
薄暗い部屋
椅子に座って男が本を読んでいる
「…………おや、こんにちは」
此方に気づいたようだ
本を椅子においてこちらに歩いてきた
「最近この空間に侵入……いや、滑り落ちてしまう人が多いですね
お困りですか?」
男が首を傾げてきたが別に困ってはいない
帰りたいのと暇つぶしがしたいくらいだ
「そうですか
出口はあちらですよ?」
男が指差した方向が明るくなる
かなり遠い壁に光が当たり扉が浮き出て見えた
……ちょっと待て、さっきこの男考えたこと読まなかったか?
「読みましたよ?
何か不都合でも?」
頭の中を覗かれていい気分になるヤツは少ないだろう
「あなたはその少数派かもしれないじゃないですか」
OKわかったはっきり言おう
不快だから勝手に考えを読むな
「これは失礼
お詫びにこの本をどうぞ」
ハードカバーの本を一冊手渡された
表紙を見るとそこには一文字
『東方双人伝』
最初のコメントを投稿しよう!