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俺はゆっくりと視線を教室内に巡らし、おもむろに隣の秀才の手元を見た。
解答欄はすでに九割埋まっていた。
しかし、手を止めてこねるように鉛筆をいじくりまわしているところを見ると、どうやら最後のひとつが出てこないようだ。
俺は胸の内でほくそえみ、何食わぬ顔で机の端に書かれた単語を小テストの解答欄へ写した。
最後の一つを写し終わったとき、ちょうど止めの合図があり、俺はシャープペンシルを置いた。
そしていつものように裏に返してテストを交換する。
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