二匹目

10/21
前へ
/86ページ
次へ
   信じてくれる、くれないとか考えても、私に出来ることって一つだから……こうなったら、腹を括るしかないっ!  春日仁菜、逝っきまーす! 「じっじじじじじ実はですね……」  妙に緊張するのは、ふざけんな! って叩っ斬られるのが怖いから。  私を睨むこの男の目が、死んだ魚の目以上に怖いんだよォ!  手汗がやばい……見られているだけで手汗がやばいよ! 「じっじじじじじ実は……」  やばい、やばいよ!  まだ、実はしか言ってないのに、鋭い目がさっきより怖くなったんだけどっ!  やめてー! 既に心が砕け散りそうになってるからぁ!  だけど言わなきゃ……。  「吐けよ、ゴルァ!」って言いそうな凶悪な顔をしてる目の前の人は、ビシバシと痛いこともやっちゃえそうだよ!  痛いのはイヤだー!  やばいなぁ~、これが死亡フラグかぁ……。  あっ……、  あれっ……?  私、もう死んでるんじゃなかったっけ?  ちっがぁぁぁぁう!    いや、違わないけどさ。  死んで生きてるんだよ?  いやいや……今、生きてるんだよね? 食い込んだ縄が痛いし、生きてるよね? 「…………」  一体、どうなってんだろ……?  タイムスリップとかハシャイでたけど、よくよく考えたら……私、死んでるっていう。  だからタイムスリップかもわからないし、もしかしたら……ここは黄泉の世界の新撰組なのかもしれない。  だとすると、年号を答えてしまったオバサンは、何故に年号を……?  あっ!パラレルワールドと呼ばれる異次元の可能性も否めないよね!?  それよりもさ……。  かなりショッキングなのは、  自分がもう死んでるって自分で分かることだよね。     
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

314人が本棚に入れています
本棚に追加