二匹目

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 自分が死んでるって思ったら、目の奥が熱くなってきた。  死んだ時のこと、鮮明に思い出したよ。  極☆男魂と書かれたトラックに、はねられたんだ。  痛みとか無くて、ぶっ飛んで。  空が近づいたぁ~とか思う暇も無く、走馬灯ってやつも無かった。  ドゴッバキッ、ていう不快な音が体に響いたのと、血が全身から抜けてくのが感覚的に分かって……人生がここで終わることを悟った。  痛みがなかったからか、そんな重傷だろう私が、ほぼ死んだんじゃね? っていう状況の中、最後に思ったのは……  あのアニメの主人公は、海賊王になれるのかなァ? ってこと。  まだ完結してないし、気になる。今も気になる。  も、もう見れないってことなの……?  本当はまだ病院で手術受けてたりとかして、これが私の意識の中だったりするのかもしれないのに……ああ。  でも、なんか……分かっちゃう。  上手くは言えないけど、心臓が止まる……って、最後の最後に感じた。  その感覚は、言葉にするのは難しくて、けれど、ハッキリと死んだって自覚できてしまうもので……。  つまり、私はもうアニメを見ることはできないんだろう。 「うっ……うぅ……うぅう……ル○ィ~……」  目から零れる悲しい涙を拭う手は動かせないから、必然的に涙は下に落ちる。  さらに、鼻水も下に落ちる。  ショックだ。本当に、もう見れないじゃん。  ううん、そんなことより。  やりことが、沢山あったのに……できないじゃん。  お祖母ちゃんを泣かせるようなことしない! って決めてたのに……きっと、泣いてるよ。  一人にしない、って決めたのに……ごめんね、お祖母ちゃん。  わ……私……死んじゃったよ。       
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