二匹目

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  「イケメンっていうのは、顔がカッコイイ男という意味です! 男前とも言いますかね! つまりは……並ではない男前、になります」  喋りにくいなァ~方言が通じないのは。  いちいち説明が必要だもん。  だけど、ぷっ、ぷぷぷっ……方言て、ね。  腹の中で方言と思ってる土方を馬鹿にしながら、笑いを堪えて土方を見た瞬間…… 「ヒィィィ!」  睨まれてました。  男前って褒めたのに睨まれるてどういうことですか? 「もう良い。要は、テメェん中で有名な俺らを見に来たってんだな?」 「えっ……あぁ、はい。 見に来たっていうか、女中とかしちゃいたいなァって思って。 よく考えたら、行く宛ないし、お金も無いし……今の私が生きてるのかどうかも分かりません。 どうしたら良いかまったく分からないんです。 ……雇ってくれませんかね?」  真面目な話に戻って、改めて女中をお願いしてみた。  どうして私がこの時代に来たのかは知らないけど……痛みを感じるってことは生きてるんだろうし、生きるためにはお金も食料も寝床も要る。  この恐ろしい目をした土方さえ頷いてくれたら…… 私はそれらに困らないと思うんだよね。  って、図々しいカナ?     
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