二匹目

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  「一つ聞いても良いか?」 「なんでしょう?」  首を傾げる私を見据えた土方。  その表情は真面目で、何を言われるのか私に緊張が生まれる。 「テメェが未来から来たってことにして、200年先では死んだら京に来ることが可能なのか?」 「……へ? 分かるわけないです。私、初めて死んだんだし……。 でも、無理じゃないですかね? 私、新撰組がこれからどうなるとか知ってます。 この世がどうなってくのか、大まかに知ってるんですよ。 そうやって、知っている人が次々にここに来たら、歴史が変わります。 そんなことが、当たり前にあるなんて話、聞いたことがないですし……。 私が思うに……私はかなり稀な人間だと思います」  誰しもが来れるわけじゃない……と思う。  歴史の教科書は毎日一緒の内容だったし……誰でも来ちゃってたら、未来に住まう人の人生が一日で変わっちゃうじゃん。  そんなこと、きっと無いよ。  てか、いくら技術が発展したからって、時を遡る研究の成果があったって話は聞いたことないし……うん。  やっぱり、私はレアだ。  こんな平々凡々な私が……レア確率に当選したんだよ。  うっわぁ~何か緊張するんだけど……何で私、ここに来たんだろ。  変な使命とかあったりするのかな? 全く心当たりないけど……。  これから、使命ができたりして……?      
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