浅葱色

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  「好奇の目が痛くて、たまらず投げてしまいました~。すみません」  私を見ながらイケメンが軽い口調で言ったんだけど、その目が……笑っていない。  てか、私のラブビームがウザくて木刀投げたの? そういうこと、だよね?  なんか、凶暴というか……怖いんですけど。 「大丈夫ですよね? 当たらないよう投げましたし。 源さん、この珍妙な女が何故ここに居るんですか?」  淡々と喋るイケメン。  珍妙なんて始めて言われたんだけど。  何がどう珍妙なのか、よく分からないや。 「ああ。今日から女中さんをすることになったんだよ、沖田君」 「へぇ~。初めまして、沖田です」 「…………へ?」  え、あれ?  今……今……なんて言った?  沖田って言った?  まさかの沖田って言ったよね!?  イケメンが沖田だとォ!? 「新しい女中さんかァ~。どうしてそんな格好をしてるんですか? あ! もしかして、剣術が出来るんですか?」  目を細めて微笑む沖田は、私に自己紹介をする暇を与えずに質問を仕掛けてくる。  その沖田に 「えぇと……剣術は少しならできますよ? 本当に少しだけど……」  ちょっぴりビビりながら返答する。  イケメンの質問を無視して自己紹介なんて出来ないし、こ、これは仲良くなるチャンスだよね!?  話しかけられてるんだしさ!  
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