浅葱色

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  「へぇ。やっぱり出来るんですねぇ。男装する女子は、たいてい剣術の心得があるものなんですかね? 源さん」  ニコニコと笑う綺麗系イケメンの沖田は、源さんに言いながら首を傾げる。  その傾げ具合が……絶妙な可愛さも醸し出していて、今しがた怖いと思ったことは頭からスッポリと抜けた。  か……可愛いすぎるんだよお! 「さぁ~どうだろうね? 男装する女子など、私は彼女を含め、まだ二人しか見ていないからね~」 「もしかすると、他所では男装する女子が当たり前なのかもしれないですよ? あっ……そうだ! 女中さん、僕と手合わせしませんか?」 「え? てっ……ててて手合わせですか?」  沖田に見とれていた私は、急に話を振られてドキンと跳ねた胸を右手で押さえた。  どんだけイケメンなんだ……歴代1位だよ……!  じゃなくて! 「いやっ、無理です! 私、ほんっとに少ししかできないから、手合わせなんて大それたこと無理です!」  沖田と手合わせなんか無理だって!  天才剣士と言われた沖田だよ!?  む、無理むり!  だって……私……、  剣道始めて、まだ二ヶ月だからね?    
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