浅葱色

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   心で愚痴って、謎のあの人にイライラしてきた。  だけど、そんな私の顔をイケメン沖田が私の顔を覗きこんできて……、 「はぅ……っ」  ドキンッと心臓が跳ねる。  神様……こんなイケメンが世に居ますよ。私の目の前にいますよ。  出会わせて下さったことに感謝しちゃうくらいに、綺麗な顔!  好きだ……ここ顔が好きだ!  うっとりする程に綺麗な顔をしているイケメン沖田。  その顔が、私の顔の近くにあるわけで……鼻血が放出しちゃいそうのをグッと堪える。  代わりに、喉へ唾を落とした。  近すぎて、これはキスの間合いともとれるだけに……ドキドキしちゃうんだけど! 「……眉間に皺が寄ってましたけど、そんなに厠へ行きたいんですかァ?」 「へ……?」  えっ……皺?  眉間の皺を見てたの? 「大丈夫ですか~? 喋れない程に限界が近いんですか? 案内してあげますよ。こっちです」  かなり真面目な表情で、イケメン沖田は私を誘導しようと足を踏み出す……。  って違うんだけどお!?  限界が近いってなんですか!?  まるで漏れる寸前みたいな感じになってるじゃん! 「……あっ……動けない程に来てますか?」 「え……キテ……る?」  ちょっ、展開の早さに着いていけず動けなかった私に、言葉の刃が飛び出しまくってますよ!  来てますか? って何が来るの!?  私の乙女フラグが木っ端微塵にされてるよおっ! 「やっ、動けます! 超動けますっ!」  皆様の視線もあるから、サッサッと足を動かせば、道場内を見ていた源さんが哀れみの目で私を見ていた。  厳つさが消えた源さんの表情は、こんな時に見れるんですね……。  じゃなくて! 私の印象が悪くなってるよね?  完全に終わってしまいそうなレベルでダメージを被ってるよね!?  む、胸が痛いよ……。     
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